ヤマシロヤ模型製作Webコラム『オオゴシ*トモエのEnjoy Hobby!』は、ホビーの楽しさ、プラモデル作りの面白さを紹介するコラムです。みなさんもじょいほび!と一緒に楽しい模型ライフをはじめませんか?
【第12回 スミ入れ&トップコート、仕上げをしよう!の巻】
TEXT BY オオゴシ*トモエ
 
前回前々回と、塗装を行いました。

今回は仕上げを行います。
見る角度によって色が変化する、
偏光パールのマニキュアを塗装し、
さらにスーパークリアーを重ねツヤをプラスします。


スミ入れはエナメル塗料を使用し、
ちょっと変わった色味でスミ入れします。


部分塗装や最終仕上げを行い、
ついにウィングガンダムゼロの完成です。
 
パーツの表面にパールを塗装します。
模型用でもパール塗料はありますが、女性ならではということで今回はマニキュアを吹いていきます。


このマニキュアオーバーコート法オオゴシ塗り(オオゴシ命名)は、フジテレビ721&739の番組『プラモつくろう』 第6回で製作したキュベレイや、ホビージャパンMOOKの『ガンプラ大好き!(女子プラ!)』のサザビーなどでも行っています。
なぜ模型にマニキュア?と疑問に思う方もいらっしゃるかと思いますが、オオゴシにとって模型用の塗料より身近な素材で、ガンプラにはじめて色を塗ったのも、実はマニキュア筆塗りでした。

そんなわけで、オオゴシにとってはガンプラ製作になくてはならないものなのですが、なかなかマニキュアの模型への応用法を説明する機会がなかったので、今回たっぷり説明しますね☆

 
 
マニキュアってどんなものなの?

女性にとっては身近なマニキュアですが、 模型を作る方はほとんどが男性なので、中には知らない方もいらっしゃるかもしれません。
ここでマニキュアについて簡単にご説明します。

マニキュアってなに?
マニキュアとは付属のハケで爪に塗る化粧品のことを言います。
ネイルエナメルともよばれていますが、
エナメル塗料ではありません

(結構勘違いしている人、多いみたいです。
この場合のエナメルは光沢のあるものの意味、エナメルのバックなどと同義語です)


どこで買えるの?
化粧品コーナー、バラエティショップ、100円ショップ、コンビニなど、いろいろなお店で取り扱っています。
値段は100円〜3000円以上とかなり幅広いですが、高いものはブランドやメーカー品などで、安くても問題ないそうです。
オオゴシの持っているマニキュアもほとんど100円〜1000以内です。


マニキュアの利点は?
発色がとにかくよいです。特に赤やパール系のものは、模型用塗料にはないカラーがたくさんそろっています。

今回使用する、見る角度によって色が変わる偏光パールもいろいろな種類があり、変わったものでは紫外線や温度で色が変わるもの、ブラックライトで光るものなどがあります。女性全般という広い対象に向けての商品なので、商品も豊富なんですね。


マニキュアの欠点は?
マニキュアのカラーは季節などで入れ替わります。新商品の開発サイクルが早いのはうれしいのですが、気に入った色がすぐに廃盤になってしまいます。途中でなくなってしまうと、もう二度と手に入りません。

また、模型用やエアブラシ塗装用に作られたものではないため、溶剤が強すぎて、下の塗料を溶かしたり、他の塗料を混ぜると分離するなど、トラブルが起こる場合があります。塗装前にテストを行ったり、自己責任で使用してください。
模型用塗料より、溶剤が強いので、長時間吹き続けていると、皮膚に炎症を起こす場合があります。ワタクシTVの収録の際に、マニキュア吹きすぎて、ミストが顔にかかってしまいクチビル3倍くらいに腫れました(T□T)

マニキュア塗装のコツ

使うのにちょっとコツがいるマニキュアですが、
他の塗料にはないパール感や、豊富な種類から好きな色をセレクトできるのが魅力です。


まずは沈殿していることがあるので、よく攪拌してマニキュアをできるだけ均一な状態にします。
マニキュアのビンの中にはあらかじめ攪拌用のボールが入っていることがあります。

ビンの中で色を混ぜるより、スペアボトルや紙コップなどの別の容器で混ぜると均一に混ぜることができます。
ここで注意!!
マニキュアは模型専用のものではないので、他の塗料と混ぜるとなぜか分離します。エアブラシに詰まってしまって掃除が大変になります。


もちろん、模型専用のパール塗料は、他の塗料と混ぜても分離はしないのでご安心を!
心配な場合は模型用のパールを使ってください。
 
 
こちらが今回塗装するマニキュア。
ブルーのベースにブルー→ピンクに偏光するパールが入っています。
 
 
マニキュアは筆塗り前提なので、
ビンの中身はかなりドロドロです
希釈濃度は5倍〜6倍と、かなり薄めます。


希釈するのはMr.カラー薄め液を使います。
薄めたら通常の塗料と同じようにうがいをして、
エアブラシのカップの中を攪拌します。
 
マニキュアを薄める時には?
マニキュアを薄める際には、
Mr.カラーレベリング薄め液がオススメです。
塗料の乾燥を遅らせるリターダーが入っているので、カブリを防いだり、塗料のノビがよくなり、塗膜がより平らになりツヤが出ます。マニキュアのツヤを生かすのに最適です。
また、塗料を溶かす力が強いので、
マニキュアのパールもよりきめ細かくなります。
エナメル溶剤を使用すると、分離してしまうので注意しましょう。
※注意
マニキュアの中には水性のものもあり薄め液で希釈できないものもあります。

希釈濃度は5倍〜6倍と、
通常の塗料よりかなり薄めて吹きます。

塗料を薄めるのは、乾燥を早くするためです。
乾燥が遅いと、パールの粒子が流れてしまい、
下のほうに固まってしまうからです。

塗料を薄めれば薄めるほど、
かなり扱いは難しくなるのですが、
さっさっという感じで、ちょっと吹いたら乾燥する、
という手順を繰り返していきます。

また、パールの粒子は沈殿しやすいので、マメにうがいをして、エアブラシのカップの中を攪拌しましょう。
上のマニキュアは青い色がついているので、パーツが青くなってしまうんじゃ…と心配になりますが、塗装してみると、意外に色がつかなかったりします。

マニキュアは実際の爪に塗った場合でもほとんどの場合は、2度塗りをしてきれいに発色します。

エアブラシで薄めて吹くと、色がほとんどつかないといってもいいんじゃないかな?と思います。
しかし、思った色と違うこともありますので、必ずテストを行ってくださいね。
塗装中や、乾燥中は、マニキュアが下の塗膜に悪い影響を及ぼしていないか?パールの具合はどうか?など明るい場所で確認してくださいね。


全部のパーツにコートしたら、
通常の塗料より長い時間乾燥させます。
マニキュアは乾燥が遅いのです。

マニキュアをよく乾燥させたら、最後にスーパークリアーをオーバーコートします。
 
GSIクレオス
スーパークリアー光沢
157円(税込)
仕上げにトップコートを吹こう!
スーパークリアーは全体のツヤを整えたり、
塗膜やデカールなどを保護するための仕上げ剤
です。

今回は光沢を吹きますが、
マラサイの製作時に使用したつや消しスプレーと同じものです。

ビン入りと、スプレータイプのものがあり、
光沢(クリアー)、半光沢、つや消しがあります。

扱い方は通常の塗料とほぼ同じで、
ビン入りのものはエアブラシで塗装します。
最後の仕上げなのでカブリなどのトラブルを避けるため、
なるべく湿度の低い日に行うことをオススメします。

スミ入れ用の塗料を選ぼう


マラサイの時は、ガンダムマーカーのスミ入れペンを使用しましたが、
今回はエナメル塗料でスミいれをしていきます。

まずはずらっと並んだ塗料の中から、
今回スミいれで使用する色を選びます。

エナメル塗料は色数が豊富で、混ぜてオリジナルのカラーを作ることができます。無限大の色の中から、自分の作品やパーツの色に合った色を選んでいきます。
 
 
写真のようにパーツのミゾに、筆を使ってエナメル塗料を流していきます。

エナメル塗料の利点は、塗装の際に使用したラッカー系の塗料とは混ざらないので、失敗してもエナメル溶剤でふき取りができることです。


しかし、大量にエナメル塗料をパーツに流すと、パーツがもろくなったり、割れてしまうことがあります。
ワタシも過去にいたーい思い出が…


タミヤ
エナメルカラー各種
各157円(税込)

タミヤ
エナメル薄め液
420円(税込)

スミ入れ用の色を決めよう!

スミ入れといえば、パーツの影の表現なので、影の色(黒とかグレー)でするものという先入観がありますが、今回の作品は美しさがテーマなので、黒やグレーだと、メリハリがつきすぎてしまいます。

また、オブジェのような作品を目指しているので、メカっぽくなるデカールをあえて使用していません。

そこで、スミ入れはパーツの影というとらえ方ではなく、パーツの色の情報量を増やすための、さし色という解釈で行っていきます。

ボディの白い部分はパープルとフラットアルミを調色したメタリックパープルで、ブルーなどのカラーパーツはチタンゴールドでスミいれをします。
かなり奇抜だったので、周りはビックリしていましたが、さし色としてはいい色だと思うんだな。自分の感性を信じてレッツトライ!
 
色を決める際に、実はいろいろなことがありました…メタリック系の塗料と、普通の塗料を混ぜると、渋い色になってしまい、イメージと違っていて悩みました。

スタッフのつぶやきブログ
じょいほび!リアルタイムレポート参照


色を作っては納得できない…の繰り返し。
色を決めるときって一番不安で、悩みますよね。

そんなオオゴシの不穏な空気を察して、じょいほび!を見学していただいた方々から注がれるまなざしにも心配の色が…エンドレスモードに突入してしまったので、チョット休憩。
ブースの外に出て、見学をしてくださっているみなさんに意見を伺うことにしました。

見学者のみなさんはビックリされていたようですが、作品のコンセプトや目指すものを一番ご存知なのは、じょいほび!の作業をずーっと見てくださっている方たちだなと思ったのです。そんなブレインのみなさんにヘルプを求めました。じょいほび!スタッフの玉さんを交え、スミ入れの色について話し合っていると、玉さんからステキなアイデアが!

パープルの上澄みの半クリアー状態の紫色と、フラットアルミを調色しては?という玉さんのアイデアで、濁りの少ないメタリックパープルが出来上がりました。
 
スミ入れをしよう!

これからスミいれをしていきます。

調色した塗料はエナメル用の溶剤で1.5倍くらいに希釈します。

エナメル塗料はのびがよい
のであまり薄めすぎると色がつかなかったり、パーツの中にまで流れていってしまいます。

筆にエナメル塗料を含ませ、パーツのミゾに当てると、毛細管現象でスーッと塗料が溝の中に流れていきます。



塗料を流す時には、模型用の面相筆など筆先が細いものを使用しましょう。

この時はみ出してしまってもあわてずに。
乾燥させて、エナメル溶剤でふき取ります。
エナメル塗料は乾燥までに少し時間がかかります。

タミヤ モデリングブラシ各種
 
 
塗料が乾燥したら、エナメル溶剤を綿棒に含ませ、はみ出した部分をふき取っていきます。

お家にある綿棒でもかまいませんが、小さなパーツには模型専用の綿棒が使いやすいです。

ふき取る時は綿棒を大量に使います
綿棒の先にふき取った塗料がついていると、パーツの表面に塗料を塗り伸ばしてしまって、ふき取るどころか汚してしまうことも!

綿棒は常にきれいな状態のものを使いましょう。

ふき取りすぎたら、もう一度塗料を流します。
何度でもやり直せるので、納得いくまで作業することができます。
綿棒には模型専用意外にも、赤ちゃん用の細いものや、化粧用綿棒などいろいろな形状のものがあります。用途に合わせて使用しましょう。


このスミ入れの作業は、最後の最後の仕上げなので、スミ入れ忘れがないか、ふき取り忘れがないかチェックします。


このスミいれを雑にすると、コンテストなどでの評価がめっちゃ下がってしまいます(笑)コメントなどに「仕上げをもっと丁寧に!」とかかかれちゃったりします。最後の作業なので、完成を焦る気持ちは分かりますが、塗装や工作がどんなにすばらしくても、スミ入れのはみ出しはダイレクトに分かってしまうので、見る人に雑な印象を与えてしまうんですね…。



白いパーツの一部や、ブルーなどのパーツには、チタンゴールドでスミ入れしました。
イメージは天使の羽です!


チョットほかにはない色ですが、
面白い表現ができました。

スミ入れなどは、セオリーにとらわれず、
感性に任せて好きな色でやってみるのも楽しいんじゃないかな?と思います。

次はシールなどでは対応できない部分塗装を行います。
GSIクレオス / Mr.綿棒 / 280円(税込)
 


GSIクレオス
バクシードマーカーセット
1,365円(税込)

トンボ鉛筆
ピットマルチ2
210円(税込)
胸と頭のグリーン、下の写真のゴールド部分などは、ガンダムマーカー…ではなく、バクシードマーカーで塗りました。


このバクシードマーカー、メタリックカラー、ゴールドやメッキシルバーなどすごくいい色がセットになっているんです。


もちろんガンダムマーカーやそのほかのマーカーを使ってもOKです。
羽の先端、各ポイントには、ネイルアートに使用するラインストーンを貼りました。いろいろな色や大きさがあり、模型に使用できるものも多いので、ネイルグッズなども機会があれば一度見てみるのもよいかもしれません。
ラインストーンを貼る時には瞬間接着剤ではなく、左の文房具用の強力接着のりピットマルチを使います。瞬着だと、パーツの表面が白くなることがあります。
表面に影響を与えず、しかも何度でも貼ったりはがしたりできるこのピットマルチは仕上げのパーツの接着に最適なのです。
最初は白ですが、乾くと透明になるところもよいです。
 
 
 
最後の作業、組み立てていこう!


さて、半年係で製作してきたウィングガンダムゼロですが、とうとう完成の時が来ました。


すべての作業が終わったら、組み立てます。


が!ここで注意!必ず手を洗いましょう。

手にが汚れていたり、塗料などがついていると、組み立てるときにパーツを汚してしまうからです。

パーツをはめ込んだりするのに、力をかけると指紋がついたりしますよね?完成品はできるだけきれいな状態で飾りたいですよね。

その意味を込めて、手を洗います。
中には真っ白い手袋をはめて作業する人もいらっしゃいます。
 
説明書を見ながら、丁寧に組み立てます。
ムリヤリパーツをはめ込むと、せっかくの塗膜にキズがついたり、塗装がはがれたりします。

パーツの破損や紛失などはないか?
色の塗り間違いはないか?
スミ入れのはみ出しはないか?
何度も確認したことですが、あらためて隅々まで確認しながら組み立てていきます。



今までの製作のあんなことやこんなことが、
走馬灯のようによみがえってきて、無意識のうちにニヤニヤしてしまいます。


組み立てて「てできたー!」と、
カメラ担当のオカヤマさん(♀)と、
狂喜乱舞していたら、
額のツノを付け忘れていたらしく、
ブースの外で見学者のみなさんが、
「ツノーー!!!」と叫んでいました。

ブースの中にみんなの叫びは届かず、
なんでみんな額を指差しているんだろう?と、
首を傾げていました。


イヤン、私ってばウッカリさん!
 
 
無事ツノもつけて、本当に完成です。
いやー、長かった…。

ウィングガンダムVer.054のできあがりです。

制作期間は2005年6月〜12月の毎月2回、
(途中マラサイ製作などもありましたが)
12回分プラスお忍び作業などを入れて、
48時間〜50時間ちょいといったところでしょうか?


実演で作業の説明をすることはよくあるのですが、
作業の一部だけではなく、
全部を公開でするという経験が今までなかったので、最初は不安でドキドキしましたが、
失敗したところも、迷っているところも一つのウソもなく(笑)作業をお見せできたことは、
オオゴシにとって非常によい経験になりました。
 

ベースは白く塗装しました
見る角度を変えると羽のパールが偏光します
羽の先端にはラインストーンをくっつけました
こちらのWガンダムは、
ヤマシロヤ6階ホビーフロアの
じょいほび!コーナーに展示
してあります。
ぜひ見にきてくださいネ。
やはり作業してみないと分からないこともあったり、
反省点や失敗したこともちらほらありますが…
このじょいほび!がみなさんのモデリングライフに、
少しでも役立てていただけたらうれしいです。


じょいほび!の作業を見にきてくださったみなさん、
コラムにお付き合いいただきましたみなさん、
本当にありがとうございました。
 
(C)創通エージェンシー・サンライズ  (C)GSIクレオス
 
 


 
 
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