ヤマシロヤ模型製作Webコラム『オオゴシ*トモエのEnjoy Hobby!』はホビーの楽しさ、プラモデル作りの面白さを紹介するコラムです。みなさんもじょいほび!と一緒に楽しい模型ライフをはじめませんか?
【悪役1号編 第3回 悪役1号をウェザリングしようの巻】
TEXT BY オオゴシ*トモエ
 

みなさんこんにちは!オオゴシ*トモエです。

第2回 悪役1号の塗装計画&塗装をしよう!の巻で、
悪役1号を青い迷彩に塗装したオオゴシ。

おそらく誰も見たことがない悪役1号に塗りあがりました。

今回の作業は使い込まれた感じや、
重厚感を出すためにウェザリングを行います。

戦車模型の楽しみはこれから!ということで、
リアルタッチマーカーや女性ならではのあのアイテムを使用して、
悪役1号のウェザリングにチャレンジします。
 

前回じょいほび!色に染められた悪役1号。


じょいほび!を見た友人から、
「一瞬あわびかと思った…」という
素敵な感想をもらいました。ギャフン。

毎度のことではありますが作業に入る前に、
資料などを見て作業プランを立てます。


説明書には悪役1号の解説も掲載されているので、
ウェザリングのヒントになります。


そのほかいろいろな作例などを見て、
イメージを膨らませていきます。
組み立てた状態でもよいのですが、
場所によってはマーカーのペン先が
入りにくい部分があるので、
大まかに分解して作業します。


まずはリアルタッチマーカーを使用し、
スミいれを兼ねたウェザリングをしていきます。


リアルタッチマーカーセット1 【5色セット+ぼかしペン】
リアルタッチマーカーセット2 【5色セット+ぼかしペン】
各1260円(税込)GSIクレオス
GSIクレオスより発売中の
模型専用の水性マーカー。

アルコールマーカーのガンダムマーカーなどと違い、塗装する目的ではなく、グラデーションやウェザリングなどの味付け的な表現に使用される。

スミいれでの用途はもちろん、
ぼかしペンでぼかすことによって、
汚れや影などのグラデーション表現もできる。

ペン先は細先、太先の2種類。

カラーペン、ぼかしペンとも単品も各色210円(税込)で販売されており、用途に合わせて購入することができる。

オオゴシ流
リアルタッチマーカーの使い方

最初にリアルタッチマーカーでスミいれをします。水性なので塗料やガンダムマーカーの上にも塗ることができます。
今回はブルーの戦車ということで、同系色のリアルタッチブルーと、ブルー系のグレー、リアルタッチグレー1をセレクト。

細いほうのペン先で、パーツのミゾにそって描いていきます。


リアルタッチマーカーは、ガンプラ用というイメージがありますが、戦車や飛行機などの汚れ表現に使える色や、フィギュアの肌色の影色に使える色もあり、他の模型などにも使いやすい色味が揃っています。


パーツの色味にあわせてペンの色を選ぶことができるのも、リアルタッチマーカーのいいところですね。
ミゾに影色を入れることで、メリハリをつけるだけでなく、立体感スケール感を強調していきます。


悪役1号は凹凸が比較的多いので、スミ入れのし甲斐がありました。ミゾだけではなく、写真のように影になりそうな部分にも影色を入れます。



以前HGマラサイを製作した時は、ガンダムマーカースミいれペンを使用しました。その様子はこちら
一通りマーカーでスミ入れしました。
かなり雑です。いいんです。

多少はみ出しても、あとあとぼかしペンでぼかすので気にせず描いていきます。

普通のマーカーとの最大の違いは、
このぼかしペンの存在です。

インクの色は無色透明で、パーツに塗った色の濃淡を調節し、なじませるために使用します。
このぼかしペンで、スミ入れ部分をやさしくトントンたたくようにして色をなじませていきます。


はみ出した部分もぼかしペンで消すことができます。このあと、何度もぼかしペンを使用することになるので、1回目のぼかし作業はささっと全体をなじませる程度でOK。
 
スミいれでは影色を表現しましたが、ここでは影以外の汚れを表現していきます。


深い溝部分にスミ入れの時に使用した色よりも濃い目の色で描いていきます。
雨と一緒に汚れが上から下に流れる様子を思い描きながら、汚れそうな部分にリアルタッチグレー3で描きこんでいきます。


スミ入れの時のように線全体にべったり描くと、ペンの色が濃いので汚すぎる印象になってしまうことがあります。様子を見ながら描いていきます。


色が足りないのは後で足せるので、
寸止めの気持ちを忘れずに。

ふたたびぼかしペン登場です。
書き込んだ部分を中心にぼかしペンで、
色をぼかしていきます。


このとき雨の流れと同じ、つまり上から下へとペン先を動かすのがポイントです。


自然な雨の流れを表現するには、
本物の汚れを見るのが一番参考になります。
家やビルの壁の汚れなどをじっくり観察します。



全体になじませると、色のトーンが落ち着いて、渋めの感じになり、ウォッシングと同じような効果が得られます。
ぼかしペンのペン先が汚れたなと思ったら、ティッシュにペン先をトントンとこすり付けます。
ペン先のインクをティッシュに吸収させると、ペン先がきれいになります。
 
 

今までは、グレーや黒で汚しましたが、汚れにもいろいろ種類や色がありますよね。

スス汚れやサビ汚れオイルが流れた汚れ、泥汚れに砂汚れ…

次はリアルタッチブラウン、リアルタッチオレンジ、リアルタッチイエローの3色で茶系の汚れを描いていきます。
雨でサビが流れた様子や、内側のサビが流れ出てきた様子を描きます。


今回は青い車体なので、オレンジの色味がよいアクセントにもなります。

ここで参考になるのが車やバイクのサビ汚れです。

泥汚れなどは工事現場などにおいてあるブルドーザーなどの汚れが参考になります。身の回りのいろいろな汚れを興味を持って観察することが、ウェザリングをより自然に本物らしくするコツでもあります。
 
 
同じ茶色でも場所や汚れによって、
色が違いますよね。


全体をまったく同じトーンで汚してしまうと不自然なので、リアルタッチマーカーを何色か混ぜてみます。


茶色を多くしたり、オレンジにグレーを少し混ぜたりといろいろ試行錯誤しながら色を乗せていきます。
ぼかしペンを上手く使いながら、
色をなじませます。


汚し塗装は、単に汚くすることではなく、目的や意図を持ってポイントポイントをより効果的に、美しく汚すこと…だと、アーマーモデリングの連載で学びました。


リアルタッチマーカーでのウェザリングは、このへんで一度区切りをつけます。
もう少し作業してみて、物足りないようならもう少しウェザリングします。
 

さらにドライブラシ!
用意するのはエナメル塗料と筆です。
 
 


ドライブラシは筆に含ませた塗料をギリギリまで落とした状態で、塗料をこすり付けるように塗装する方法です。かすれたような独特の表現で、モールドや凹凸の強調、金属感を演出するために行います。


ボディ部分には白に近い青を、キャタピラ部分にはメタリックグレイとフラットアルミを使用します。


塗料皿によく混ぜた塗料を少量出します。
通常の塗装では塗料を薄め液で希釈して濃度調整するのですが、ドライブラシではビンから出した状態のものをそのまま使用しました。
 
 
筆に塗料をしっかり含ませます。
次にティッシュなどにこすり付けて塗料を落とします。


せっかく塗料をしみこませたのにもったいない…と思ってしまうかもしれませんが、ドライブラシはこの作業をしっかりやらないとダメなのです。


ドライブラシに使う筆は、ボロボロに痛んでしまうので、筆は使い古しのもので十分です。
ティッシュに塗料がつくかつかないか…
それくらいまでしっかり塗料を落とします。

筆先がぱさぱさして乾いた感じになったらOKです。だからドライブラシなんですね。

塗料が残りすぎていると、べたっとした感じになってしまいます。「塗料、全部落ちちゃったかも…」くらいの方が丁度よかったりします。

筆先の状態が整ったら、パーツにこすり付けていきます。


このとき筆をパパっと早めに動かすのがポイントです。べったり塗料をつけるのではなく、つくかつかないかの微妙なかすれ具合にしておくのがきれいに仕上げるコツです。


ボディの凹凸部分が浮き出てくるような感じや、塗料がはげて下の金属が見えているような変化がわかりやすいので、オオゴシはこのドライブラシの作業が好きです。
キャタピラが地面の石とこすれて、金属地が露出したっぽい感じにしてみました。


当たり前のことですが、プラモデルはプラスチックでできていますが、本物の戦車は金属でできています。


その金属っぽさや重厚感を塗装などで表現したり、素材感を演出するというのもウェザリングの目的の一つなのだなとあらためて感じました。

 



あのコスメでウェザリング?!

続いては塗料では表現できない、ホコリなどの粉っぽい汚れを追加します。

通常の模型製作ではパステルの粉などを使用するのですが…今回もじょいほび!らしく、女性ならではのアイテム、アイシャドウを模型に使用してみようと思います。


アイシャドウはまぶたに塗る化粧品で、
色数も豊富、100円ショップでも販売されています。
写真はオオゴシ私物のアイシャドウ(一部)。



アーマーモデリングの連載、『オオゴシ*トモエの戦車模型もいかがですか?』の中でも取り上げたのですが、タミヤのウェザリングマスターもアイシャドウや化粧品をヒントに開発された商品ということで、アイシャドウも使えるのでは?と思いチャレンジしてみることにしました。

アイシャドウウェザリング

アイシャドウは粉を固めた状態でケースに入っています。

一つのケースに大体2、3色、アイシャドウのセットでは10色近く入っているものもあります。

付属のチップやブラシなどに少量取り塗っていきます。

アイシャドウの多くにキラキラ感をだすパールが含まれているので、模型に通常使用されるパステルなどとは少し違う質感になります。
 
茶系やグレー系の色を中心に使用します。


黒いアイシャドウの粉をスリット部分にこすり付けて、すすけた感じを出します。


スス汚れは粉っぽいザラザラしたイメージなので、粉のアイシャドウは、思った以上にいい効果を得ることができました。
パステルやウェザリング用の素材でもよいのですが、まわりを見回してみると身近なものが模型に使用できることを発見できたりします。

そういうことも、模型の楽しみだったりします。

以前、ウィングガンダムゼロカスタムを製作した際に、爪に塗るマニキュアで塗装してみました。その様子はこちら
 
続いて、グレー系、茶系のアイシャドウを、キャタピラの間を埋めるように、トントンと乗せていきます。


キャタピラの間の土やサビなどを表現します。


工事現場のブルドーザーなんかはもーっと派手に汚れているのですが、今回の作品はあまり汚したくないので、本物とは違ってきますが、少し控えめに汚していきます。

汚しの度合いも自由に決められるのが模型のいいところということで…。
粉をそのまま入れただけでは、定着していないので、粉を落ち着かせるために、エナメル溶剤…?と思ったのですが、プラが割れるのが怖かったので、今回はジッポーオイルを少量筆に含ませて、粉にしみこませるように定着させました。


ジッポーオイルを使用すると、プラを侵さないので割れたりする危険性が少なくなります。
そのほかアクリル溶剤などで定着させる方法もあります。


ウェザリングに行き詰ったら?


はじめてウェザリングにチャレンジする人にとって、ウェザリングってどこにどうしたらいいのかわからないというのは、つかみ所がなく漠然としているけれど、致命的で切実な問題ですよね。

経験もないし、センスがあれば苦労はしてない!とオオゴシも何度途方に暮れたことか…


オオゴシ自身がそうだったように、模型誌を読んでいて、
リアルタッチマーカーの使い方や、ドライブラシなど、
方法や技法の目的は理解しているのだけれど、
自分の作品への投影方法がわからない…
そんな人も中にはいらっしゃるのではないでしょうか?

技法と自分の作品をどんなふうに仕上げたいのかのイメージがイコールにならない状態で作業をしていても、自信がなかったり、納得できなくて、結局収拾がつかなくなってしまいます。経験談。


そんな方にぜひ読んでいただきたいのがコチラ!
アーマーモデリングで連載中の「オオゴシ*トモエの戦車模型もいかがですか?」というコラムです。

このコラムでは技術の紹介ではなく、ウェザリングに必要な観察眼や、考えることへのヒントを提案しています。


ウェザリングに大切なのは経験やセンス、そして作品のイメージだということは重々わかっているのですが、そのイメージを固めたり、いろいろなものを観察して作品に投影することは、今まであまり語られなかったことだと思います。


「経験」や「センス」などと、一言で片付けられてきた部分を掘り下げ、月刊アーマーモデリング2006年6月号、7月号、8月号の3ヶ月にわたり、戦車模型のトップモデラーの先生たちとともにウェザリングについて考えています。ウェザリングに行き詰ったら、行き詰らなくても(笑)ぜひ読んでみてくださいね。

ウェザリング出来上がり

悪役1号のウェザリングが一通り出来上がりました。
この後、ベースなどを製作してもう少し手をくわえるかもしれませんが、
このような状態になりました。各部分のアップです。

実はこのウェザリング、奥が深くてずーっと悩んでいたことでした。アーマーモデリングのコラムと、このじょいほび!コラムが同時進行だったので、一時はウェザリングのことばかり考えていました(笑)


本物の戦車とは少し違うところもあるかもしれませんが、いろいろ調べたり、観察した上で、作品に丁度よい汚れ具合を決めることができるのも、模型ならではのよさだと思いますので、今回のじょいほび!ウェザリングはこの状態でゴールということにしました。

次回は本体から離れて、付属の豚フィギュアを塗装します。


悪役1号編 第4回
豚のフィギュアを塗装しようの巻 に続く!
 
 


 
 
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