ヤマシロヤ模型製作Webコラム『オオゴシ*トモエのEnjoy Hobby!』は、ホビーの楽しさ、プラモデル作りの面白さを紹介するコラムです。みなさんもじょいほび!と一緒に楽しい模型ライフをはじめませんか?
【第9回表面処理の仕上げ サーフェイサーを吹こう!の巻 後編】
TEXT BY オオゴシ*トモエ
 
表面処理の仕上げ
サーフェイサーを吹こう!の巻前編
では、
サーフェイサーのメリットデメリット、
塗装に必要な道具などを中心にご紹介しました。

今回は青と白いパーツを中心とした、
残りのパーツにサーフェイサーを吹いていきます。


青いパーツは、赤と同じくベースホワイトに色を混ぜた、
カラーサフを使用する予定です。
まずは色選びからスタート。


ヤマシロヤさんの店内の作業ブースで製作していると、
欲しい色がすぐ手に入るのでホントに幸せです♪
 

青いパーツを塗料しよう!

今回もオリジナルカラーの下地剤、『カラーサフ』を作ります。作り方の手順は前回を参考にしてくださいね。


前回はベースホワイトにオレンジを混ぜましたが、今回は下地の影響をあまり受けない、青の下地ということで、ベースホワイトと、グレーのビン入りサーフェイサーに青を混ぜた下地を使用します。


  
 


塗装前の手順は前回と同じです。
エアブラシの準備をし、塗料を適正濃度に希釈し、試し吹きをします。パーツのホコリを払って、塗装開始です。


パーツとエアブラシの距離は3センチから5センチくらい離します。塗り始めはパーツのふち(エッジ)や、奥まっている部分などの塗料の乗りにくい部分から塗っていきます。



少しずつ色を塗って、写真のように表面が濡れたら乾燥させます。これを3、4回繰り返します。




失敗を防ぐコツは、一気に色をつけるのではなくて、何度かに分けて塗ることです。一つのパーツを集中的に塗るのではなく、少しずつ乾かしながら塗っていきます。













色を塗ったら、このように乾燥台に立てて、
しっかり乾燥させます。

乾燥台の作り方は前回を参考にしてくださいネ。
このとき、絶対にパーツにさわらないようにします。

写真は青いパーツと、前回塗装したパーツです。

まだまだ先は長いですが、
張り切っていきましょう♪
 
塗料を交換するときは?  
エアブラシで塗装をしている時に、
現在塗装中の色とは別の色を塗装したい場合は、
カップの中を一度洗浄します。

まずは、塗装している色を全部吹ききってしまうか、スペアボトルの中に塗料を出して、
カップを空にします。
 
 
カップの下に残っている塗料を吹ききって、ティッシュでカップの中や、エアブラシのふたについた塗料を拭きます。


薄め液をカップの3分の一位まで注ぎ、
『うがい』をし、カップの中を洗浄します。
うがいは30秒から1分くらいしっかり行います。

うがいをすると、カップの中に空気が逆流し、空気と一緒にノズル部分に入っている塗料も、カップの中に押し戻されエアブラシがキレイになるといったしくみです。

何度かうがいを繰り返し、うがいをしても、薄め液に塗料が混ざらなくなったら、カップの中がきれいになっている証拠です。


薄い色を塗装する時は、念入りにうがいをします。
うがいをさせたときに使用した薄め液は、全部吹ききってしまうか、ティッシュにしみこませましょう。
 

白いパーツを塗料しよう!

ベースホワイトに、ツマヨウジの先ほどの、ほんの少量赤と青と赤の塗料を混ぜた、うすーい紫色の塗料をつくります。

  

なぜ真っ白にしないかというと、(若干ですが)キズを見つけやすくするためと、白にちょっとした表情を持たせるためです。

あくまでも個人的な考え方ですが、真っ白は誰が見ても白にしか見えませんが、少し色が混ざることによって、色に表情が出るというか、見てもらうときに面白みが増すんじゃないかな?と思うのです。この上に白を塗装するので、見えるか見えないか…というかなり微妙なニュアンスになります。

   




白を吹く前は、エアブラシをしっかり洗浄しておきます。特に濃い色メタリック系の塗料を使用した場合は、特にしっかり洗浄しておきましょう。


白以外にも黄色なども色の影響を受けやすいので注意しましょう。


前回同様の手順で塗料を薄め、パーツに吹き付けていきます。
 
 
 
 
塗装開始です。

が!白い色や薄い色は塗料の乗り具合が
判別しにくい色なので、ついつい吹きすぎてしまったりと、失敗の確立も高くなります。

他の色に比べて、色が乗るまでに時間がかかるので
塗るのがかなり難しい色です。

そこで明るい場所で、パーツの表面を
しっかり観察することが重要になります。



パーツの表面がぬれた状態になったら乾燥させ、
ちょっと塗装したらまた乾燥と、濃い色のパーツの
2倍も3倍も時間がかかります。


しっかり時間をかけて、
ほんのり紫色にしていきます。
 

羽のパーツを塗料しよう!


続いて羽のパーツを塗装します。


羽のパーツの塗料は、ベースをワイトに青を少し混ぜた、水色の塗料を使用します。

白いボディのパーツと、羽のパーツは本来ならば、同じ「白」のはずなのですが、羽には青いグラデーションをかけるので、下地の色は別々にします。





大きめの羽のパーツで塗装の手順をお見せします。


これだけ大きなパーツを均一に、ホコリを一つもつけることなく塗装するのは、実は結構大変だったりします。
しかも大きい一つのパーツなので、ホコリがつくとよーく目立ちやがります。

塗装前にはとにかくしっかりホコリを払います。

ちがう色の下地からスタートするので、当然上に塗装される白の発色の仕方や色のニュアンスも変わってきます。
仕上がりを想像しながら、色を決めていきます。





  
 


塗装のスタートは端っこやミゾから。
写真のように、ミゾやパーツのキワの部分を塗ります。


このときちょっと吹きすぎたかな?とか、ムラがあるなと感じても、この段階では心配ご無用。
薄く吹き重ねた白は、乾燥させると色が少し暗めになるので、思った以上に目立たなくなります。

これから何回も色を重ねていくことによって、ほぼ目立たなくなります。




















むしろムラなどを早く消そうと、長い時間塗装して、表面が乾いていないところにホコリがくっついたり、パーツを落としたりして塗膜にキズがつくほうが厄介です。


この状態で少し乾燥させて、今塗っている部分を少しずつ広げるように、続きを塗っていきます。


大きめのパーツは塗り上がるまで、30分から1時間くらいかかることもあります。

とにかく、薄い塗料で、一回の塗装時間を短く何回も塗り重ねるというのが、きれいに塗装するポイントです。


だいぶ塗りあがってきましたが、まだ中心が白っぽいのがお分かりいただけますでしょうか?

  
 



最終仕上げで、全体のムラをなくすため、ちょっと遠目から、圧力を高めにして、パーツの全体にふわっと乗せるように塗装します。


このときに非常にホコリがつきやすいので、かなり注意です。うそーん!って言うくらいでっかいホコリがついたりするときもあります。←経験談


万が一ホコリがついてもあわてずに!
「あホコリついた!」と思ったら、塗装を中断し、パーツにさわらないようにして、しっかり乾燥させます。

ホコリがついた段階で、テンパッてホコリを取ろうとするのが実は一番ダメな行為です。←コレも体験談
塗膜にキズがついて、取り返しのつかない悲しい結果になります。

パーツをよく乾燥させたら、爪でカリカリっとすると、たいていの場合はホコリがとれます。


どうしても取れない場合は1200番くらいのペーパーで磨きます。


  
 


これは失敗例
塗装中にはいろーんなアクシデントがあるのですが、その中でもかなり強烈だったのが、パーツポロリ事件です。


持ち手の布テープの粘着力が弱っているところに、
エアブラシの風があたり、ポロッとパーツが落ちてしまったのです。


当然塗料は半乾き。
床に落ちたパーツにダイレクトに床のゴミやホコリがくっついてしまいました。
羽の左側に黒くてザラザラしたものがイッパイついているのがお分かりいただけますでしょうか?


こうなると不貞寝もしくはヤケザケよく乾燥させて、ペーパーをかけてゴミを削ってあげるしか方法がありません。著しくテンションと作業効率が下がってしまうので、持ち手にはしっかりくっつけましょうね。

白い羽のパーツは可動部分がほとんどなので、
羽の裏側もしっかり塗装します。羽を広げた時に裏側は色塗ってなかった…とか、イヤですもんね。


大き目のパーツが多いので、乾燥中にパーツが接触しないように気をつけます。
 













キズチェックをしよう!


サーフェイサーを吹いて乾燥させたら、これから本当の意味での表面処理の仕上げが始まります。ドキドキ。


スタンドのそばなどの明るい場所で、パーツにしっかり光を当て、あらゆる角度からキズのチェックをします。


サフを吹いて色を均一にすると、キズやホコリ、継ぎ目などが残っているとくっきりと目立ちます。


もちろんキズのない、このまま塗装をしても大丈夫な合格パーツもたくさんあるので、きれいに塗装されているパーツと、キズやホコリがついているやり直しパーツを選別します。

  
 


何もしていないパーツと比べると、はっきりとミゾやパーツのくっきり度の違いがお分かりいただけると思います。

どんなに表面処理を完璧にしていたと思っていても、このときに必ず「あ!しまった!!」と思う箇所が出てきます。
コレをそのままにしてしまうと、サフ吹きの作業をした意味が半減します。しっかり修正しましょう。
その判断を甘くするか、厳しくするかは自分次第なんですが…自分に厳しく、仕上がりは美しくなるように心を鬼にしてチェックしましょう。


今回の製作では、ペーパーがけをしっかりしているので、キズ埋め効果を目的とした作業ではなく、あくまでも塗装の下地作りと、キズ発見の目的なので、パテで埋めなければならないようなパーツはありませんでした。

ホコリを噛んでいるところが数箇所あったので、1200番のペーパーを当ててホコリを削ります。




このときのペーパーがけは、削るという感覚ではなく、なでるといった感じですね。ホコリだけが取るような感じで削ります。修正がおわったら、削った部分に再びサフを吹き重ねます。


グレーのパーツとベース部分のパーツはグレーのサーフェイサーを吹いておきます。これで下地塗装は完了です。
 











エアブラシのお片づけ


塗装が終わったら、エアブラシを洗って作業終了です。エアブラシは手入れをしっかりしていれば、ほとんど故障することはないと思います。

エアブラシを洗浄するといっても、洗面所でじゃぶじゃぶ洗ったりするわけではありません。

塗料の色を変える時と同じ方法で、色を変える時よりちょっと念入りに掃除します。

  
 


先ほどと同じく、カップの中に残っている塗料を、ビンの中に戻して、カップの中を空っぽにします。
ノズル部分に残っている塗料を吹ききります。


薄め液をカップに入れて、エアを逆流させ、うがいをさせます。うがいは1分くらいぶくぶくします。
このとき中身がこぼれない程度に、前後左右に傾けると、中の塗料がより早くきれいになる…ような気がするのは私だけ?


うがいは回数を多くするよりも、1回をしっかりする方が、はやく、少ない薄め液できれいになります。

薄め液をケチるのはオススメできませんが、かといってムダに使えませんもんね。


うがいの目安は、薄い色で3回くらい、
濃い色で4、5回くらいです。


薄め液に色がつかなくなったらOKです。


メタリック系やパールの粒子が大きい塗料などを使用したときは、特に念入りに掃除します。


念入りにうがいして、薄め液に色がつかなくなっても、メタリックの粒子がふわーんと浮き出てくることがあります。これが厄介でねぇ…。

  
 

ノズルの先は使い古しの筆などに薄め液をつけて、塗料を溶かすように洗います。
このときニードルの先端を曲げないよう注意します。

通常使用の場合は、
薄め液で十分きれいになるのですが、
長時間放置して、塗料が固まってしまった時は、
専用のツールクリーナーで掃除しましょう。
ティッシュでエアブラシ本体やふたについた塗料を拭きます。


このときのティッシュは、先ほどうがいをしたときの薄め液をしみこませたものを使用すると、ムダも少ないですし、塗料もふき取りやすいのでオススメです。

そしてこのとき、
指や爪についた塗料も拭いちゃいます。
電車に乗ったりするのに、爪がサフ色だったり、カラフルだとチョット…ですもんね。
ハイ、お掃除完了です。時間にすると5〜10分程度。


ささっと掃除してぴかぴかにして、
次回も気持ちよく使いましょう。


一番いけないことは、使いっぱなしで放置すること。
中で塗料が固まると故障の原因になります。


万が一エアブラシが壊れたら、製造メーカーさんにお願いしてメンテナンスをしてもらいましょう。


それから、エアブラシ塗装で出たゴミですが、
掃除に使用した薄め液は、ティッシュにしみこませましょう。
間違ってもシンナーを流しに捨てたりしちゃダメ!絶対。
環境破壊になります。

薄め液はティッシュにしみこませて、捨てましょう。


オオゴシの場合は、薄め液はティッシュにしみこませて、ビニール袋に入れてベランダへ。
ビニール袋の口はあけておいて、一晩放置してシンナー分を揮発させてから、燃えるゴミと一緒に捨てています。


そして最後に、塗料や薄め液を使用したら必ず手を洗いましょう。そのままだと手あれの原因になります。




 

サーフェイサーの塗装が終了しました。
じょいほび!の作業時間は回数にすると3回。
約12時間くらいかかりました。


サーフェイサーに関しては、作業の方向性によって、
いろいろやり方があると思いますが、
発色を重視させ今回はこのような方法で行いました。

万人向けの方法ではないかもしれませんが、
このやり方が、作業のネタ帳のプラスになればうれしいです。

次回から塗装に入ります。
やはり基本工作のように、万人向けの作業ではないのですが、
作業レポートという形で見ていただければ幸いです☆

【じょいほび!第10回】
塗装をしよう!の巻 に続く!
(C)創通エージェンシー・サンライズ (C)GSIクレオス
 
 


 
 
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